コラッツ予想:統計的振る舞いのモデル化と理論式の導出
コラッツ予想において、1に到達するまでの操作回数(以下、stopping times)のモデルを構築します。
とします。
が奇数なら、でステップ数:+2
が偶数なら、でステップ数が+1となります。
上記操作の後、次の数が偶数か奇数になる確率は1/2であると仮定します。
という変数を考えると、確率1/2で、約だけ正方向に移動し、確率1/2でだけ負方向に移動します。
最初に、x=0に初めて到達する時刻tについて考えます。
軸のスケールを取り直し、倍すると、
(正方向の移動量)-(負方向の移動量)=2になります。
そこで、と置きます。以下では、X(n)のnを省略して記載します。
このとき、時刻Δt=1の間に、だけ負方向にドリフトするとみなすと、正方向と負方向の移動量が1になるため、定数ドリフトが存在する場合のブラウン運動で近似します。
即ち、ブラウン運動において、負方向への定数ドリフトがある際に、距離-Xの位置に初めて到達する到達時刻tを求める問題を解くことに帰着します。
次に到達時刻tとstopping times T_sとの関係式を導出します。
正方向の移動回数を, 負方向の移動回数をとすると、以下の式が成り立ちます。
これを解くと、
はステップ数としては2回分なので、stopping times T_sは
・・・(1)
を満たします。
tは、逆ガウス分布に従うことが知られており、
確率密度関数は、
また、期待値と分散は、
, となるので、
また、
なども成り立ちます。
これで、stopping timesに関する平均値と分散を得ます。
確率密度関数に(1)を代入し、測度の変換
を行うと、stopping timesの確率密度関数として
を得ます。
これは、nのstopping timesがとなる確率が
で表されることを意味しています。
よって、1~nまでの和をとれば、n以下の数に対して、stopping timesの度数分布を求めることが可能になります。
となります。