趣味の研究

趣味の数学を公開しています。初めての方はaboutをご覧ください。

微分方程式を使った解析に関して

コラッツ予想の到達時間の解析では、確率分布を用いて解析を行いました。

 

ここでは、もう少し詳細に解析できるように

色々考察してみます。ステップは

1)first passage timeの特性関数の方程式の導出

2)幾何ブラウン運動の例

3)線形確率微分方程式への適用

 

となります。

まず、

確率過程として、

dX_t=\mu (X_t, t)dt+\sigma (X_t,t)dW_t

 

を考えます。前のコラッツのモデルでは、

\mu=-\log(\frac{4}{3})

\sigma=\frac{\log(3)}{2}

としました。

以下では、μ, σはtに非依存であるとします。

 

確率過程に対するFokker-Planck 方程式は、

\frac{\partial p(x,t)}{\partial t}=-\frac{\partial}{\partial x}(\mu (x)p(x,t))+\frac{{\partial}^2}{\partial x^2}(\frac{\sigma(x)^2}{2}p(x,t))        eq(1)

となります。

x=1に吸収壁がある場合のfirst passage timeを求める際、上記偏微分方程式p(1,t)=0境界条件で解いて、

f(t)=-\frac{\partial}{\partial t}\int_{0}^{\infty}p(x,t)dx

を求めることにより、時刻t(first passage time)にx=1に初めて到達する確率f(t)を求めることができます。ここで、p(x,0)=\delta(x-\xi)とします。

 

次にf(t)の、特性関数を求めます。

以下のような関数を考えます。

 

g(x)=\int_{0}^{\infty}\exp(ikt)p(x,t)dt

g(x)に対する微分方程式を導出します。

 

eq(1)の両辺に\exp(ikt)を乗算し、tで積分すると、

-\delta(x-\xi)=ikg(x)-\frac{d}{dx}(\mu(x)g(x) )+\frac{d^2}{dx^2}(\frac{\sigma(x)^2}{2}g(x) )

となり、二階微分方程式グリーン関数を求める問題に帰着します。

 

一方eq(1)をx=1\sim\infty積分し、境界条件p(1,t)=p(\infty,t)=0を用いると、

\int_{0}^{\infty}\frac{\partial p(x,t)}{\partial t}dx=-\frac{\sigma(1)^2}{2}\frac{\partial}{\partial x}p(x,t)|_{x=1}

となります。

次に、この式に-\exp(ikt)を乗算し、t=0\sim\infty積分すると、

\int_{0}^{\infty}\exp(ikt)f(t)dt=\frac{\sigma(1)^2}{2}\frac{dg(x)}{dx}|_{x=1}

を得ます。

即ち、

 \frac{d^2}{dx^2}(\frac{\sigma(x)^2}{2}g(x) )-\frac{d}{dx}(\mu(x)g(x) )+ikg(x)=-\delta(x-\xi)

の解を求め、

\int_{0}^{\infty}\exp(ikt)f(t)dt=\frac{\sigma(1)^2}{2}\frac{dg(x)}{dx}|_{x=1}

に基づいてfirst passage timeの確率分布関数の特性関数を算出することができます。