趣味の研究

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引き続き自然数の話

[1,N^2]に含まれる自然数に関して、素因数\{p_k\}の構成が同じ数を同一視して、最大エントロピー原理を仮定し、確率分布

p(x)=\frac{1}{x}\Pi_k(1-p_k^{-1})

を導きました。

次に、素因数p_kのベキa_kの関数

\phi(a_1,a_2,\cdot\cdot)=\sum_k c_k\phi(a_k)

 を考え、E[\exp(it\phi(a_1,a_2,\cdot\cdot) )]を計算します。

ここで、c_kは定数です。

計算を実行すると、

\Pi_k [(1-p_k^{-1})\sum_{l=0}^{\infty} \exp(itc_k\phi(l) -l\log(p_k) )]   eq(1)

この結果を逆フーリエ変換すると、\phi(a_1,a_2,\cdot\cdot)に関する確率{p'}_\phi(\Phi=m)を得ます。

ところが、この確率は、素因数に関して同一視した数についての結果であるため、実際の確率になおすためには、N以上の素数の寄与を加味する必要があります。

M以下の数に対し、\Phi=mとなる実際の確率をp_\phi(\Phi=m|M)とおきます。

 

今回のケースでは、N以上N^2以下の素数q_lに対するベキは常に1であるため、\phi=\sum_k c_k\phi(a_k)+d_l\phi(1)

となります。p'_\phiは、素数q_lの倍数かつ、q_lを除いた素因数に関して\Phi=mとなる数を余分にカウントしており、\Phi=m-d_l\phi(1)となる数がカウントに入っていません。


以上をまとめると、

p_\phi(\Phi=m|N^2)=p'_\phi(\Phi=m|N^2)+\sum_l \frac{1}{q_l}[p_\phi(\Phi=m-d_l\phi(1)|\frac{N^2}{q_l})-p_\phi(\Phi=m|\frac{N^2}{q_l})\]

となります。   eq(2)


右辺第二項は、積分で近似することができます。

素数の密度関数を用いて、\sum_l\int dq \frac{1}{\log(q)}

で置き換え、

x=\frac{N^2}{q}と変数変換すると、

\sum_l \frac{1}{q_l}p_\phi(\Phi=m|\frac{N^2}{q_l})\sim \int_{2}^{N}dx \frac{1}{x(2\log(N)-\log(x) )}p_\phi(\Phi=m|x)

\phiの例として、オメガ関数を考えることができます。

このとき、\omega(n)ならば、c_k=1\phi(a_k)=1 if a_k≧1, \phi(a_k)=0 if a_k=0

また、\Omega(n)ならば、\phi(a_k)=a_kとなります。

準備:

\Pi_k(1+Cp_k^{-1})\sim \exp(C(\log\log(N)-\log \log(2))が成り立つ。

両辺の対数を取り、logの中身を一次まで展開して、和を素数密度を考慮した積分で置き換えることにより示せます。


\omegaに関しては、eq(1)より、

E[\exp(it)]=\Pi_k [(1-p_k^{-1})(1+ \exp(itc_k)p_k^{-1})]\sim \exp( (\exp(it)-1)(\log\log(N)-\log\log2) )

\Omegaに関しても同様に、

E[\exp(it)]=\Pi_k [\frac{1-p_k^{-1}}{1- \exp(itc_k)p_k^{-1}}]\sim \exp( (\exp(it)-1)(\log\log(N)-\log\log2) )

となり、両者のp'_\phi(x)に対する結果は一致し、\lambda=\log\log(N)-\log\log2ポアソン分布になります。

eq(2)を解いて、実際の確率を求められるかどうかは、まだ考察中です。

 

また、メビウス関数に関しても考察してみます。まず、E[\Pi_k{(\pm \xi(a_k) )}^{a_k}]を考えます。\xi(a)はaが1以下なら1、それ以外は、0を取る関数です。

E[\Pi_k{(\xi(a_k) )}^{a_k}]=p'_\mu(\mu=1|N^2)+p'_\mu(\mu=-1|N^2)=\Pi_k(1-p_k^{-2})\sim \zeta(2)^{-1}


E[\Pi_k{(-\xi(a_k) )}^{a_k}]=p'_\mu(\mu=1|N^2)-p'_\mu(\mu=-1|N^2)=\Pi_k(1-p_k^{-1})^2\sim \frac{1}{\log(N)^2}

これより、

p'_\mu(\mu=1|N^2)=\frac{1}{2}(\frac{1}{\zeta(2)}+\frac{1}{\log(N)^2})

p'_\mu(\mu=-1|N^2)=\frac{1}{2}(\frac{1}{\zeta(2)}-\frac{1}{\log(N)^2})
となります。

あとは、素数q_lの結果を修正します。
p'_\mu(\mu=1)には、q_lの倍数かつ、q_l以外の素因数のメビウス関数の値が1になる数が余分に含まれており、素因数のメビウス関数の値が-1になる結果が含まれていません。よって、
p_\mu(\mu=1|N^2)=p'_\mu(\mu=1|N^2)+\sum_l\frac{1}{q_l}[p_\mu(\mu=-1|\frac{N^2}{q_l})-p_\mu(\mu=1|\frac{N^2}{q_l})]

同様に
p_\mu(\mu=-1|N^2)=p'_\mu(\mu=-1|N^2)+\sum_l\frac{1}{q_l}[p_\mu(\mu=1|\frac{N^2}{q_l})-p_\mu(\mu=-1|\frac{N^2}{q_l})]

E_N[\mu]=p_\mu(\mu=1|N)-p_\mu(\mu=-1|N)
E_N[\mu^2]=p_\mu(\mu=1|N)+p_\mu(\mu=-1|N)
に注意し、
上の式の和と差をとると、
E_{N^2}[\mu]=\frac{1}{\log(N)^2}-2\sum_{q_l}\frac{1}{q_l}E_{N^2/q_l}[\mu]\sim \frac{1}{\log(N)^2}-2\int^{N}_2 dx \frac{E_x[\mu]}{x(\log(N^2)-\log(x) )}

E_{N^2}[\mu^2]=\frac{1}{\zeta(2)}